王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
放課後。
「帰るぞ」
「あ、うん!ちょっと、待ってね」
小野君はソワソワと落ち着かない様子でいるあたしに声を掛けた。
急いで荷物をまとめて教室を出ると、人の間をぬうように廊下を歩く。
すると「アユちゃーん!」そんな陽気な声が背中にぶつかり、あたしは思わず振り返った。
「彰人君、どうしたの?」
「ごめんごめん、壱星のこと呼んでも振り返ってくれないの分かってたからアユちゃんの名前呼んじゃった」
あたし達の元へ駆け寄ると彰人君は「壱星、今日誕生日だったよな。おめでとさん」そう言って小野君に小さな箱を手渡した。
え?今、彰人君……誕生日って言わなかった?
「場所をわきまえろよ」
小野君は不機嫌そうな表情でその箱をポケットに突っ込むと、お礼も言わず、再び歩き出した。