王様彼氏とペットな彼女!?~Heart Breaker~
「小野君……今日、誕生日って本当?」
まさか……そんなはず……。
あたし、プレゼント用意してないよ?!
一人で歩き出した小野君を追いかけて、下から顔を覗き込むと小野君は小さく頷いた。
「そんな……もっと早く言ってくれればプレゼント用意できたのに……」
「別にプレゼントなんていらない」
小野君がそう言うと予想はついていたけど、それで「はい、そうですか」と素直に応じられるほどあたしは大人じゃない。
それに、誕生日は一年に一度の大切なイベントだ。
大好きな小野君が生まれてきた日を、一緒に祝いたい。
「あ、そうだ!駅前にケーキ屋さんがあったよね?ケーキでも食べようか?」
「今はケーキを食いたい気分じゃない」
「じゃあ、何か食べたいものある?今日はあたしがおごるから。ねっ?」
「今は腹減ってない」
色々な案をだしても、話は平行線で全く進展しない。
「うち来るか?」
すると、あたしの気持ちを知ってか知らずか小野君は無表情にそう言った。
「うん、いく」
あたしがそう答えると、小野君はあたしの手をギュッと強く握った。