想い出の中の虹
選ばれた場所
「あっつっ。」


「あ〜ぁ、慌てすぎ。」


「腹減ってんの。昼からずっと食いっぱぐれちゃってさ。美羽、食べないの?」


「ん……瞭くんみてるだけでお腹いっぱい。」


両手で頬杖をつき、嬉しそうに俺を眺める。


「そ?………じゃあ、穴が開くほど見つめて?めちゃめちゃ美味しそうに………ってか、美味いんだけどね。」


「うん。」


ほんの二口ほど口にしたカレーうどん。

湯気の上がるそれは、彼女の、そして俺の目の前に置かれたまま。

それでも、嬉しそうに笑って俺を眺めている。

だから、俺は自分の空腹を満たすことに夢中になることにした。

熱いカレーうどんは、そんな俺を知ってか知らずか、いつまでも温度を下げず、俺の舌に闘いを挑んでくる。


< 20 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop