想い出の中の虹
月明かりの下。


「綺麗……だね。」


視線をあげて月を見上げる。


「おいで。」


そっと引き寄せ、腕の中に包み込んだ。


「瞭くん。」


「ん?」


そっと背中に回された細い腕。


「産まれてきて……良かったんだよね。」


Tシャツをぎゅっと握り締めた小さな拳。


「ここにいて…………良いんだよね。」


一言ずつ、確認するように。

自分に言い聞かせるように。


「……………良いんだよ。ここにいて。俺のそばにいて。」


抱き寄せる腕に少しだけ力を込める。


「産まれてきてくれて、ありがと。美羽を産んでくれた人に感謝するよ。」


「………瞭くん。」


胸に届く小さな吐息。


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