満ち足りない月
「とにかく今日は早く寝るといい。屋敷内は窮屈だろうが、適当に過ごしてくれて構わないからな」
「分かったわ」
セシルは早々とソファから立ち上がると、扉のドアノブに手をかけた。
「――それから」
手を回した時、思い出したようにラルウィルは声を出した。
セシルは振り向く。
「二階はこの書斎と君の使っている部屋以外、決して入ってはいけないよ?」
小さい子供に言い聞かすようににっこり笑ってラルウィルは言った。