満ち足りない月
セシルはその笑みを見てぞっとした。
もし、あの二人がヴァンパイアだったとしたらすぐに気付かれていたのかもしれない。
そう思うだけであの時の張り詰めた緊張感がまた蘇ってくるようだ。
そして何よりもあの人間に対する冷たい笑み。
また彼の冷たい部分に触れたような気がした。
セシルが戸惑いを隠しきれなかったのか、ラルウィルの勘が鋭いのか、彼はすぐに話を変えた。
「まあとにかくあの組織に君も顔が知られた以上、しばらくこの森から出ない方がいい」
セシルは重々しく頷いた。