満ち足りない月




またソファーに向かい合った。


話を切り出したのはラルウィルだった。


「話の間が少し長くなってしまってすまない」


セシルは手を膝の上に置いて、俯きながらも首を横に振った。


なぜあの場でここで言うはずだったであろう事を言ったのか。


――私の秘密を言わせない為だわ。


セシルは拳を握り締めた。


聞きたくないわよね、こんな奴の言おうとしてる秘密なんか…



セシルがそんな事を思っているのも知らず、ラルウィルは話を続けた。


「まず、森で会った二人の男が探しているのは恐らく俺だ」
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