満ち足りない月




「どうして自分だと分かるの?」


セシルは顔を上げると困ったように眉を下げた。

ラルウィルはそんなセシルを見ながら低い机の上で両手を組む。



「奴らが言っていた“エドガー”という名だ。奴が探しているなんて俺以外考えられない」

ラルウィルはそこまで言うとクスッと笑った。


「何しろ三百年間、ずっと探し回っているんだからな」



「三百年?」


凄い執念だわ……。セシルは絶句した。


それにしても三百年ってラルが生まれた頃よね?

生まれてからずっと追われてるって事?

何でそんなに――


「生まれては……存在してはいけない存在だからだよ」


セシルがハッとしてラルウィルを見ると彼は微笑んだ。

ほんと伊達に三百年生きてないのね。


セシルは思った。
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