彼女はいなくなった


「裕ちゃんに、これをね」



 そう言って差し出されたのは、薄ピンク色の可愛らしい封筒に包まれた手紙だった。



「なつみの机を整理してたら、奥の方から出てきたの」



 手紙を受け取り裏を見ると、見慣れた大きくて丸い彼女の字で“裕ちゃんへ”と書かれていた。




「渡そうと思って渡せなかったのかな。あの子の最後の言葉だと思って読んであげて」




 静香さんは涙を必至でこらえていたようだったが、その声は小さく震えている。
 そして、せいいっぱいの―― 弱弱しい ―― 笑顔を見せて部屋を出て行った。


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