女子DEATHヒーロー
 それにしても……央太ってば意外と紳士だ。

 あたしはゴロンと転がると央太を見た。
「いいじゃん、黒パンだし。央太だし」
「央太だしって何だ」
「央太は央太じゃん」
「なんだそれ」

 今更じゃん。そりゃ、佐々木に見られたらソッコーで隠して殴るけど、央太は小学校からの付き合いだもん。
 それに、あたしと央太は男と女っていうより、なんて言うんだろ……キョウダイ?あ、飼い主とイヌ?

 央太ってなんであんなに犬っぽいんだろ。

「あたしが気を許してるってことよ」
「そうか」

 央太がちょっと照れてる。意外と可愛いとこあるじゃん。犬だからね、央太は。まぁ、見た目は可愛くないけど。わんこの可愛さなんて持ち合わせてないもん。
 ちょっと珍しい央太が見れたからラッキーかも。からかうネタができたし。

「じゃ、あたしは寝る!」
「は?」

 あたしは掛け布団を引っ張ると、寝る体制に入った。

「ここでかよ!」
「うん。おやすみ!ノート貸してあげるから央太は勉強してな。頭良くないのにノートとってないんだから」

 勉強する気がないもん。まぁ、央太が真面目にっていうのもおかしい気もする。

「ちょっ!……せめて制服は着替えろよ!」

 シワになるぞ!って……あんたはあたしのお母さんか!

 仕方なく着替えてベッドに入った。央太にジャージ借りて。勿論、着替えてる時は部屋から追い出した。

 部屋に戻るの面倒だもん。

「ご飯の時間になったら起こして」
「……自分の部屋で寝ろよ」

 ベッドの横で央太が呟いたけど、あたしは構わず夢の中に入っていった。


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