君に染まる(前編)
真剣な顔でそう言いながら
ピアノに手をついた。
再び、先輩とピアノにはさまれたあたし。
「簡単なことだろ?」
「そんなこと…言われても…」
「だあー!!
じゃあ、どーすりゃあいいんだよ!」
「だ…だいたい…
あたしにばっかり、
好きになれ、俺の女になれ、
って言いますけど…
先輩はどうなんですか!?」
「は?」
「付き合うってことは、
お互いが好き合ってるから
成り立つもので…
もしあたしが先輩のこと好きになっても、
先輩があたしのこと好きじゃなかったら
意味が…」
って…あたし、何言ってるんだろう…。
こんなの
「“好き”って言ってください」
って言ってるようなもんじゃない…。
「んなことどーでもいいだろ」
視線を落としていたあたしは
その言葉にすばやく視線をあげた。
どうでも…いい?
「好きとか嫌いとか、それって重要か?」
「あ、当たり前じゃないですか!」
「俺はそう思わねぇ」