君に染まる(前編)
…はい?
「気に入った、だから俺の女にしたい。
それだけで十分だろ」
「そんな無茶苦茶……んっ…」
あたしの言葉をさえぎるように
唇をふさいだ先輩。
「…っ…んっ…」
息つぎをするたびにもれる声。
こんなキス初めてで…
どうすればいいのかまったく分からない。
必死に抵抗する手の力も
次第に弱くなっていく。
ポー…ポ、ポーン…
後ずさりするあたしのせいで
めちゃくちゃなリズムで鳴るピアノ。
「…はっ…んん…」
あたしの声と。
ポポー…ポー…ン
ピアノの音。
部屋に響く2つの音を聞きながら
意識が遠くなってきたその時。
ガチャ
「未央ー?」
ドアが開く音と共に
聞こえてきた優先輩の声。