君に染まる(前編)
怖い…けど…
すごく悲しい目であたしを睨む。
もしかして…
先輩達はただただ純粋に
獅堂先輩を想ってるんじゃ…。
「こんな汚いマネしなければいいのに…」
「…なんですって?」
「獅堂先輩のこと好きなら…
ちゃんと気持ち
伝えればいいじゃないですか!」
視線をそらさず、震える唇を噛みしめた。
「こんなことしてても
先輩達の気持ちは伝わりません!」
「分かったような口聞かないでよ!!」
声を荒らげながらカッターを振り上げた。
思わず目をつぶったその瞬間。
「……っ…!」
激しい痺れと、
感じたことの無い痛みが胸元を襲った。
胸元を押さえこみ、
崩れるように座り込んだあたしから
後ずさりで離れていく先輩達。
「ちょ、ちょっと…
髪切るんじゃなかったの!?」
「血…出てるわよ…」
「ねえ、どうするの!?」
「どう…するって…言われても…」