君に染まる(前編)
「百瀬未央ー!」
「あ、また来たよ獅堂先輩」
後ろからの声に反応して
振り返った楓ちゃんは嬉しそう。
あたしは振り返る気にもなれない。
昨日VIPルームを脱出してから
ずっとあたしの前に現れる獅堂先輩。
今から下校というこの瞬間まで…。
「行こう、楓ちゃん」
あたしは楓ちゃんの腕を引っ張り
早足で歩き出した。
「話ぐらいしてあげれば?
逃げてばかりじゃかわいそうだよ」
「関わりたくないのっ」
「気持ちは分かるけどさー、
仲良くすればいいじゃん。
獅堂先輩かっこいいんだし」
「かっこよかったらなんでもいいの!?」
「仲良くしてて損はないってこと」
「襲われそうになったんだよ!?」
「かっこいいんだからいいでしょ?
ま、あたしはタイプじゃないけどね」
「あたしだってタイプじゃないよ!
あんなチャラチャラした人…」
「誰がチャラチャラだ」
いきなり後ろに引っ張られた体。