君に染まる(前編)


顔を上げると
キレ気味の獅堂先輩が
あたしの顔を覗き込んできた。



「おい、もう1度言ってみろ」



「え…あの…」



先輩に睨まれたじろんだあたしは
楓ちゃんに助けを求めた。



でも楓ちゃんは、



「じゃあ、下駄箱で待ってるから」



そう言うとにやにやして、



「未央のことお願いしまーす」



なんて言って歩いて行った。



あたしをがっちり捕まえている先輩は
満足そうにあたしの顔を覗き込んだ。



「お前の友達いい奴だな」



「…なんの用ですか?」



顔を背けてぼそっと言った。



「お前、また顔赤いな?
男慣れしてねぇのか?」



「あたしの話聞いてます?
質問に答えてください!」



「なんで?」



「なんでって…」



「なんで答える必要があんだよ」


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