君に染まる(前編)
「このファイル、
今すぐ生徒会に持っていかなくちゃ
いけないんだけど、
俺先生に呼ばれて行けそうにないんだ。
代わりに持ってってくれないかな?」
「あ、いいよ」
「助かるよ、じゃあよろしくね!」
あたしがファイルを受け取ると
急いで教室から出て行った。
「あたし持ってってくるね?」
「うん、早く戻ってきてね」
席を立ったあたしは
楓ちゃんにうなずいて教室を出た。
教室を出てすぐにある渡り廊下を渡って
共同校舎へ向かう。
共同校舎には職員室や事務室があり、
Ⅰ類からⅢ類までが共同で使う校舎。
生徒会室はここの渡り廊下を渡って
ちょっと歩いたところ。
少し早歩きで渡り廊下を渡り終え、
共同校舎へ入った時、
生徒会室の前にある机に
えらそうに座ってる人が目に入った。
あれって…まさか…。
《きゃあ!創吾先輩だ!》
《かっこいい~~!!》
…やっぱり…獅堂先輩。
生徒会室の前を通る女子生徒が
嬉しそうに声をあげている。
…なんでいるんだろう。