不器用な指先
『えっ…?』
私の放った言葉の意味に戸惑い、私の腕の自由を奪っていた信一さんの力が弱まった。
『あたしが…っ透を…っ』
……やりどころない後悔と、認めたくない自分の罪…
『……っっ』
私は唇を噛み締めて、信一さんの腕を思い切り振りほどいて駆け出した。
『ちょ…実冬ちゃん!!』
『ああああ…っ…透…ーーっ!!!』
冷たい廊下を駆ける私の背中で、ただ息子の名を呼び続ける母の声が、遠ざかっていった。