悲涙の花びら
序章
街を見渡せる時計台に、1つの人影が降り立っていた。
人影は、目下に広がる景色をただ機械的に眺めていた。
純白の雪のように見える花びらが、風に乗って運ばれている。
――― 今日もまた、人が死んだ。
人影は舞っている花びらを見て、ふとそんな事を思い出した。
この花びらの花は、確か。
そう。亡くなった人の魂を鎮めるものだ。所謂、鎮魂歌のようなモノ。
脆い。モロイ。
なんてこの世界は、こんなにも――