悲涙の花びら
第1幕




助けて


幾度なく叫んだ声なき叫びは、誰にも届かずに木霊する。

助けてくれる人などいないと悟った時、私の心はもう枯れていた。



「おい!立て!仕事だ!」



苛立ちの含まれたその声を聴いて、私は重い腰を持ち上げる。

ジャラジャラと、金属が擦れた音が薄暗く汚い部屋に広がった。



その音を聞く度に、首にあるモノを認識させられる。


首枷。


〝奴隷〟が逃げられないように、魔法が仕掛けてある呪縛物。



私は、逃げられない。

永遠に、〝奴隷〟という呪縛からは逃げられない。


そう思うと色味のない瞳で、部屋の出口を見つめた。


沢山の子供達が、連なっている。

まるで自分が生きている事を知らないような瞳に、ただただ影を落としていた。



私も、あの子達と同じなのだ。

そう思うと生きる事が、どうでもよくなってしまった。



完全に私の心は朽ち果てたのは、この時。

私が、6歳の時だった。



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