手のひらの終焉
リャウドはテントに戻って、

二つのリュックを背負って戻ってきた。

「ほら、リャウカの分」
 
投げてよこされたリュックはずっしりと重かった。
 
水だ。

「ありがと」
 
リャウカは言って、テントの方を見た。
 
アモーレがちらりと顔を見せた。
 
何ともいえない表情で、リャウカを見る。

リャウカは、その視線を、

しっかり受け止めた。

綺麗な色に光る瞳。

その色は、リャウカの心の中にまで、しみてくる。

けれど、リャウカは、目を伏せた。

一瞬だけ。

けれど、アモーレは、黙ってテントの中へ、消えてしまった。
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