手のひらの終焉
いびつなポーズで固まったまま転がる男たちを目で確かめた。

たまに、効きの悪い人間がいる。

そういうのには、悪いけど、動きを封じるために

もう少し怪我をしてもらわなければならない。
 
幸い、というか、だらしがないというか、

ガスの効き目の薄い者はいないようだった。
 
リャウカは、カプセルのカケラを、

それが傷付けて滲み出た血と一緒に吐き出した。
 
もう少し穏便に、催眠ガスとか使いたいところだが、

組織にはそんなもの、なかったのだ。
 
一番害がなさそうなものが、この神経ガスだった。
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