タレントアビリティ
「そういえばですね」
「ん?」

 納豆キムチクレープを胃にしまい込み、ブレスケアだとかガムだとかで後始末をする風音が切り出した。どうやら本当に、添は風音の話し相手に認定されたらしい。平和な昼休みが消えた。

「ハッピーマートが臨時休業するそうです」
「……………………」
「添さん?」
「……ああ? あ、ハッピーマートが。はあ、そうなの」
「はい。何やら店内改装とかで……」

 ハッピーマート。
 近場にあるスーパーで、添や能恵の御用達である。食品だけでなく他にも様々なものも売っており、そしてお値段異常。ぶっ飛んで安い。

「儲かっていたんですね、あの値段で」
「客が多いからな」

 昨日、添と走馬が散々に破壊したから休業したんだろう。

「再開のめどは不定らしいんですけど」
「へー、そりゃ大変だ。ここらへんにはコンビニしかないし」
「ですよね」

 罪悪感は無かった。罪の意識も無かった。
 そもそも添は悪くない。勝手に走馬がキレて暴れて、第六感とかいう迷惑極まりない才能で主婦のメッカを大破した事が原因ではある。助長したのは添ではあるのだが。
 しかし、再開のめどが立たないほどだったのだろうか。棚を1つ倒した程度なら、2、3日の休みで復活するだろうに。もちろん、損害の量は分からないのだけれど。
< 104 / 235 >

この作品をシェア

pagetop