タレントアビリティ
「何が……」

 能恵は怒っている。明らかに怒っている。これを見たのは……、何回目、だろうか。

「かふ……ッ」
「フーッ……、フーッ……、フーッ……」
「が……ッ、おえ……」

 真っ白な髪が逆立っているようにも見えた。小さな身体から刺々しい何かを世界に発しているようにも見えた。平和な茶の間が歪んでいるようにも見えた。
 視界の隅、無惨にも真っ二つになったちゃぶ台。木の破片が飛び散っていて、テレビに刺さっていた。ジャパネットでテレビはいくらだろう。場違いだ。

 びくん、と、少年の身体が跳ねる。添はもう、動いていた。

「能恵さんっ!」

 割れた破片が足を傷つけるのも構わず、僅かな距離を詰めて能恵にタックル。細い身体は簡単に離れ、壁にぶつかった。
< 108 / 235 >

この作品をシェア

pagetop