タレントアビリティ
『でも、いつか分かるかも。……さ、そえ。そえのお願いは? 私に何か頼みがあるから、こんな時間帯に学校サボって電話してくれているんでしょ?』
「うぐっ」
『ゲーセンの音が聞こえてるのよ? 私がいない間に、さては何をやらかすつもり?』
「当てが無かったんでとりあえず座りました。あと、ゲーセンじゃなくてフードコート」

 話がぐいぐい逸れている。とりあえず戻そうということで、添は水を口に含んで飲み込んで、言った。

「風音さんの事です」
『でしょうね。何が知りたいの?』
「両親との関係。それと、今、彼女がどこにいるか。過去に何があったか……」
『そえ、レディーのシークレットをそんなに詮索するものじゃないわ』
「でも、知りたい」
『……はいはい。じゃあ、一回家に帰って、私のパソコンの一般ユーザー開いてて。こっちから操作出来るから、そえの知りたい情報を表示するね』
「ありがとうございます」
『そのかわり、添はきちんと、自分のやるべきことをやりなさい。いい? 役割ってものがこの世界にはあるの。その役割は才能で分担されてて、今回に関しての役割は今話した通りよ。そして、それぞれがそれぞれの役割をこなさなければ、事は動かない。それを忘れないこと。いいかしら?』
「もちろん、ですとも」
『にゃはははー。ならけっこーよ。じゃ、いい報告、期待してるわ』

 また家でね、と型通りの挨拶を終えた後にぷっつりと電話は切れた。最後に盛り返した緊張がまだ残る足で、添は自宅へと向かう。屋上で食べるはずだったメロンパンは、まだ手付かずのまま。
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