Rain
その夜、結局聖夜くんからの電話はなかった。


あたしは携帯を握りしめてずっと待ってたのに。

いつ鳴ってもいいようにトイレに行く時も、お風呂に入る時もずっと持ってた。



『また夜にでも電話する』

聖夜くんが言ったあの言葉に、あたしは期待してたのかもしれない。


何か特別な期待を…。




気付いたら朝だった。


携帯を見ても聖夜くんからの着信はない。



嘘つき…
電話するって言ったのに。


でも半信半疑だったしこんなの予想はできてた。





『はぁーあっ』


またため息がでる。




あたしってほんま単純やし…あほやわ。




仕事行こ…。






そうだ。
あたしは何があったって耐えて乗り越えてこれた。


考えなかったらいい。


今回だってどうにかなる。





ほっとけばイイ…




そう思ったあたしは、また仕事に向かった。




でも考えてみれば夜の仕事には最近行っていない。




何かが変わってきていた。
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