my name
「俺達、高校が初対面じゃないんだ。ずっと昔に一度だけ会ってる」
うそ。あたし覚えてない。
「いつ?」
「小4の時。お互い父親に連れられて」
お父さんとはよく2人で出掛けていたけど。
「みんなで公園に行って、父さん達が話してる間に2人で遊んだんだ」
亮佑のお父さんも話に聞くだけで会ったことはない。
「その時空がジャングルジムから落ちた。俺が落としたんだよ…」
落とした?
「何で?」
「嫌いだと思ったから」
心臓がズキンとした。
当時の気持ちなのはわかってる。
でもあたしのこと嫌いって言ったことには変わりない。
何で今そんな話するの?
そんな話聞かなきゃ良かった。
聞きたくなかった。