roulette・1
降り積もった真っ白な雪は、天から差し込む月明かりでコバルトブルーに輝いていた。
その上に立つ幼い私は、ぼんやりと、ある一点を見つめていた。
白い雪を点々と黒く染めたその先の、大きな黒い“物体”を。
細々と白い息を吐き出し、小刻みに身体を震わす私のようには動かない──“動かなくなった”、それを。
見つめていたところに……ふわりと、雪が舞い降りてきた。
雲も風もないのに、ふわり、ふわりと空からやってくる雪に、思わず顔を上げる。
私は無意識にそれに手を伸ばした。
小さな手いっぱいにこびり付いたどす黒い赤色は、寒さのために凍りついたのか、伸ばした手の皮膚をパリパリと引きつらせた。
しかし、舞い降りてきた白い雪が、掌に触れた途端。
さっと、洗い流されていくような感覚を覚えた。
不思議に思って掌を眺めてみたけれど、私の小さな手はやはりどす黒い血がこびり付いていた。
そのとき、ざく、ざくと雪を踏みしめる足音が聞こえて、肩をビクリと震わせて振り返った。
そこには、にこやかに笑う“人”が立っていて……こう、告げた。
「貴女にはまだ、その資格がないのだね……」
──あれは。どういう意味だったのだろう……。
その上に立つ幼い私は、ぼんやりと、ある一点を見つめていた。
白い雪を点々と黒く染めたその先の、大きな黒い“物体”を。
細々と白い息を吐き出し、小刻みに身体を震わす私のようには動かない──“動かなくなった”、それを。
見つめていたところに……ふわりと、雪が舞い降りてきた。
雲も風もないのに、ふわり、ふわりと空からやってくる雪に、思わず顔を上げる。
私は無意識にそれに手を伸ばした。
小さな手いっぱいにこびり付いたどす黒い赤色は、寒さのために凍りついたのか、伸ばした手の皮膚をパリパリと引きつらせた。
しかし、舞い降りてきた白い雪が、掌に触れた途端。
さっと、洗い流されていくような感覚を覚えた。
不思議に思って掌を眺めてみたけれど、私の小さな手はやはりどす黒い血がこびり付いていた。
そのとき、ざく、ざくと雪を踏みしめる足音が聞こえて、肩をビクリと震わせて振り返った。
そこには、にこやかに笑う“人”が立っていて……こう、告げた。
「貴女にはまだ、その資格がないのだね……」
──あれは。どういう意味だったのだろう……。