欠陥ドール
煌びやかな世界を、あたしは一歩外れたところで見ていた。
彩鮮やかに並ぶ料理、人がたくさん集まって、みんな完璧に装飾されている。
女性は華やかな衣装を身に纏い、高価そうな宝石で自らを飾る。
その中心にいるのは、リタ。
めったにしない正装。黒を基調としていて、リタの髪の色とよく合う。本人は窮屈だから嫌いだと言っていたのに、完璧に着こなしている。いつもは無造作にしているその漆黒の髪もきちんと整えられていて、まるで別人みたい。
隣にいるカナンも、リタとは対照的な白を基調とする正装。もともと色素の薄いカナンによく合っていて、こうして、着飾ったカナンを見ると本当に人形のように見える。
リタが野性的で、ワイルドな顔立ちだとしたら、カナンは繊細で美しい顔立ちだろう。
二人が並ぶ事で、その存在感を更に際立たせている。
遠くから見ている女の人達が頬を赤く染めて、熱い視線を送っているのが分かる。
当の本人達は知らん顔だけど、上からだとよく見える。…別に、上見なくてもすぐ気付いただろうけど。