欠陥ドール


「……………。」


「……………。」



あれ、何だろう。このぎこちない感じ。



最初の言葉を交わしてから、なんとなく気まずくて話し出せない。



さっきからあたし達は黙ったまま。今までなに話してたんだっけ。



久しぶりなのに。久しぶり過ぎて。一度途切れた会話に、なかなか言葉が思いつかなくて、沈黙が続く。



二人とも、どちらかが先に喋り出すのを待ってる。そんな感じ。なんて、もどかしい。



そして先に、沈黙を破ったのは。



「あっ」



あたし。



リタが待っていたと言わんばかりに、勢いよくこちらに振り向くのが分かった。


「あの…」



そうだ言わなきゃ。



ずっと言いたかったのに。いざリタを前にして忘れていたなんて、どれだけ頭が悪いんだ。あたしは。



でも、それくらい緊張してたんだ。多分。
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