欠陥ドール
「ばーか!」
「あう」
リタがあたしの頬を抓る。
「面白いか面白くないかなんて関係ないんだよ!お前が一生懸命話してくれたらちゃんと聞くし、それが嬉しいの!」
最後に、頬を抓ったままグリグリと円を描くように回されてリタはパッと手を離した。
「内容なんかどうでもいいんだよ」とまたあたしの頭を撫でて、リタは立ち上がる。
それに続くようにあたしも慌てて立ち上がった。
「外、寒いから走って帰れよ?」
「うん」
「寄り道すんなよ?見回りの奴に見つかんなよ?」
「う、うん」
「えーと、あと……あー…、もういいや!とにかく!」
髪をぐしゃぐしゃに掻き回すリタは、そっとあたしの頬に触れた。カナンともお父さんとも違う、温かい手。
「明日も、元気に花に水を遣ること」
「うん」
「…会いに行くから」
はにかんだように笑うリタに胸を締め付けられて、真っ直ぐに見れなくて、また俯くあたしだったけど。
顎を持ち上げられて、顔を上げさせられれば、心臓が高い音で鳴く。