雪に埋もれた境界線
 洋館の門の前でタクシーを降りた俺は、錆びた門の前に立ち、正面に建つ屋敷を眺めた。

 すごいなぁ。まるで怖い話しに出てくる洋館みたいだ。

 寒さのせいか、怖さのせいか分からないが、陸はぶるっと一度身震いをすると、じっくりと眺めた。

 そして陸は、意外にもわくわくと胸を弾ませており、ゆっくりと悴(かじか)んだ両手で錆びた門を開けると、屋敷まで続く一本道を歩いた。

 一本道の両側は、二メートルくらいの、奇妙な動物らしきオブジェが、一定間隔で建てられており、おとぎ話の絵本に紛れ込んだ感覚にもなる。

 陸はそんなオブジェを見ながら、屋敷の玄関前に着いた。

 そして扉の大きさに圧倒されたが、視線を右にずらすと、横に付いているインターフォンらしきボタンがあったので、一呼吸するとボタンを押した。

 すると、その大きな扉はギギギッと低く重みを感じさせる音を立てて、開かれたのである。

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