姫と竜 *王子が誘拐*
国から逃れ、ひと月ほどたった頃…
王と家族、臣下の家族一行が向かったのは
竜の聖地と呼ばれ、普段人々が足を踏み入れる事は決してない場所だった。
いつからそう呼ばれたのか、何故
そう呼ばれる様になったのかは判らなかったが
バルクト王にとっては 誰も足を踏み入れないとゆうことがなにより重要だった。
逃亡中の王一行にとっては、
おとぎ話に出て来るような竜が
例え存在していて聖地に踏み入った事に怒り狂い、
喰われ死んだとしてもまた、別の道を選んだとしても
自らの家族と家臣が
大陸一の大国から生き延びる事ができるすべと
可能性が他にはなかった。
助かる道は 誰も足を踏み入れる事のない地で、
誰に知られる事なくひっそりと暮らすだけ…
バルクト王はそんな選択肢しかない中、
この地を選びたどり着いたのだ。