姫と竜 *王子が誘拐*
竜は不愉快そうに顔を歪め再び重い口を開いていた。
『我がそうする事にどのような意義がある?
我の前では人は人。人が出来る事などなきに等しい』
…たしかに
これ程巨大な竜の前で人に出来ることなど 砂漠の砂金粒ほども無いだろう。
だが 万が一の可能性を捨てて逃げる事など出来ない。
そう心の中で思いながら
バルクト王は再度自信満々に答えた。
「我々がここに住むことで提供出来るものがある。
実りと狩りで得た獲物だ。我々は生きてゆければそれでいい。残りの全ては貴公に献上しよう。」
…だがそれを聞き竜は目をさらに細める。
『我が 奴隷になりたいとゆうことか?』
バルクト王は即座に答えた。
「っっ違うっ!この地の主に 後から来た我々が出来る最大限の敬意を払うのだ!!最大限の敬意を!!」
バルクト王の鼻息は荒くなり顔は真っ青になっている。
自分の家族を奴隷になどできるかっ!
バルクト王は理解できない言葉に憤怒していた。
それを知ってか知らずか竜は、バルクト王の言葉にサラッと答える。
『全てに我は事 足りている 必要ない。』