姫と竜 *王子が誘拐*
もし 彼が
本当にあの時の竜ならば
何故 あの時に
今の優しさがひとかけらでもなかったのか…どうしても聞いて見たくなった──。
「あの…」
「……我が責務だからだ。この国に、害を為す者かも知れぬ輩を 受け入れる事は 皇太子である我には出来ない。」
…責務
───王族の努め
……私は それがどのような物かを知っている。例えどの様な理由があったとしても、国民を危険に晒す事はしてはならない。そう父であるバルクト王にキツく言い付けられていた。
エリーゼはそれ以上
何も聞く事が出来なくなった。
アクトが早足で下を向いたエリーゼに駆け寄ると、アゴに手をやり顔を上げさせる。
「だから我は欲しいのだ。そなたは王族の努めを知った上で、自分に正直で居られる。それは そなたにしか出来ないことだ。」
……褒められているのか けなされているのか分からない…
そんな気持ちになる。
「私が王族だから…?」
そう 言った途端…
アクトの唇が エリーゼの唇を塞いだ。