俺は年上 君は年下
出会い
「…准、じゅーん」
俺は耳元で声を掛けられ、両肩を揺らされ、目を覚ました。
目の前には弟の凛。
弟といっても、双子。
この世に生まれてきたのが数秒違うだけだが。
「早く起きないと、電車行っちゃうよ」
凛は喋りながらYシャツのボタンを留めていく。
天然のわりに、手際が良くて、勉強しなくても点数が良くて…
俺とは何か違っていた。
凛はもうブレザーを着て、学校指定のバッグに教科書を詰め込んでいた。
「今日一緒に行こう。
僕待ってるから」
俺は凛の思い掛けない言葉に少し戸惑った。
「なんで?
凛まで遅刻するよ…」
凛は俺の言葉を聞いても、ニッコリと微笑んでいた。
そして、ベッドで寝転んでいる俺に向かってこう言った。
「知ってるよ。
准、絶対遅刻しないもん」
凛はそう言うと、バッグを置いたまま、部屋を後にした。