この腕の中で君を想う

どうしても…



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-佐藤眞理side-

街灯の明かりに照らされながらゆっくりと歩いてゆく


あれから私は冬夜のお母さんに帰ることを伝えて逃げるようにその場を離れた


「…態度悪かったかな…」

お母さんの顔を見ずに外に出ちゃったし…


"俺はまた…守れないのか"

「……冬夜」

さっきからずっとその台詞が頭の中で回っている

「…守れないって」

冬夜は何の事を言っていたのだろうか

譫言のような感じだったけど…どうも心に引っかかる



考え事をしながら歩いていたら自宅を通り過ぎてしまい、何時の間にか懐しい風景が広がっていた


「…此処…って」


誰も居ない公園

色褪せたブランコに小さな滑り台

奥には古びた公園には似つかわしくない立派なバスケコートが存在感を醸し出していた

「…うわ…凄い、久し振り」

バスケを辞めてからはどうにもここに来る事に躊躇していた

別にあの日の事がトラウマになった訳では無いんだけど

ここに来ると病院で初めて見た冬夜の声を殺して泣く姿が頭をよぎって自然とこの場所を避けていた


「…少しだけなら」

いいよね、と

なんとなく自分に言い訳をして、一際明るいコートの方へと足を踏み出した




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