この腕の中で君を想う
しっかりと整備された広い人工のバスケコート
ゴール近くには誰かが忘れていったのかバスケットボールが寂しく転がっている
「…やりたいなぁ」
学校の旧校舎で密かにやっているバスケを思い出して身体がウズウズする
幸いにも今の格好は動きやすい服なので、やろうと思えば出来る
「…ほんと、バスケ馬鹿だな…私も」
親には遅くなるとは言ってあるから大丈夫なはず
頭も整理したいし
私はバスケコートに入り、ボールを拾うとダムダムと打ちつけ始めた
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-沢口冬夜side-
「…はぁっ…はぁ…」
病み上がりのせいか、すぐに息が上がる
眞理の家は歩いて10分程の場所にあり、所謂近所だった俺達は小さい頃よく近くの公園で遊んでいたのをふと思い出す
「…どこだ…よ…」
走っている間も眞理の姿を探したが、見つからない
既に家に帰っているという場合も考えられる
夜遅くに訪問するのは失礼かもしれないが、俺は眞理の家へと向かった