ストーカークラブ
 次の日も、大学に美奈子の姿はなく、昨夜、携帯に電話をかけても電源が入っていないようだった。自宅の電話にもかけてみたが、留守番電話になっている。

 キョロキョロと辺りを探していると、順が近づいてきた。


「信太、今日も美奈ちゃん休みだよ」


 はっ? 美奈子に電話も繋がらず、連絡がとれないというのに! という言葉を飲み込み、信太は話題を変えた。


「あぁ。そういえば昨日は、野郎二人で楽しんできたか?」


 さりげなく昨夜の事を聞いた。
 昨夜は夜中まで俺の携帯に非通知のワン切りや、自宅の電話に無言電話が、繰り返し何度もかかってきていた為、順の事も怪しんでいた。

 信太と順の会話が聞こえたのか、白石さんが順の代わりに答えた。


「昨夜はね順君が、かなり酔っ払ってしまって、順君の家方面の終電が間に合わなくてね。僕の家は三つ隣の駅だから、ウチに泊まらせたんだよ。着いた途端すぐ眠って、朝は二日酔いが酷かったみたいだね」


 白石さんは苦笑している。それにしても面倒見がいいなぁと信太は思った。

 ふとそこで、ある疑問が生まれた。

 昨夜、順が酔いつぶれて白石さんの家に居たなら、非通知や無言電話の犯人ではないという事にならないか? まさか順と白石さんの共犯? 話してる間にも、二人の様子を窺ってみたが何かが違う。何だ、この違和感……そうか! この二人は会話しながらも、途中途中携帯をいじっている。待てよ、さっきの順の言葉。美奈子と連絡が取れない俺とは違い、順は連絡を取れている。昨夜、順は酔って寝ていたのが本当なら、嫌がらせの電話はかけられない。三人が共犯で、メールで俺への嫌がらせを打ち合わせしてるのか? ダメだ分からない。

 信太は疑心暗鬼に陥っていった。


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