ストーカークラブ
第十四章 真相
 向かい合って席に着きコーヒーが運ばれてきた所で、優子は顔を上げ、真っ直ぐに信太を見た。

 そして重い口を開き、ゆっくり話し始めた。


「全ての始まりは数年前に遡ります。私は信太さんも知ってると思いますが、病院の受付をしています。そこで、ある男性が病気でもないのに通って来ていて、じっと見られていたり、待ち伏せや、後をつけられたりしていました。そしてある日、自宅に帰ると玄関に手紙がはさんであり、その内容に驚きました。彼の妄想の中で、私は恋人という事になっていたんです。そして、その手紙には信太さんの事が書かれていました」


 優子は一呼吸置くとコーヒーを飲んだ。


「えっ? そのストーカーの手紙に何で俺の名前が出てくるんだ?!」


「その男は、私と友達が食事に出かけて話し込んでいた時、近くに座って話しを聞いていた様なんです。実はその時、私と友達が話していた内容は、憧れの人や好きなタイプの男性についてで……。私は信太さんに憧れてるという様な事を話してたんです……。それを聞いていた男は信太さんに対する憎しみを募らせてしまい、許さない……と手紙にはそう書いてありました」


 優子は声を詰まらせ、泣きそうになるのを必死で堪えていた。いつも気丈で明るく、人に弱みなんか見せない優子を知っているだけに、信太も貰い泣きするのを堪えた。

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