六人に届いた手紙
 大浴場に入ると広い脱衣所で、それぞれが脱衣カゴに着替えを入れ、大浴場の湯船に浸かった。

 まるで修学旅行みたいに六人で盛り上がった。
 その時、ゴボッと音がして見ると、はしゃいでいた沙也加がいつの間にか居眠りをしていた様で溺れかけていた。横に居た朋子が助けると沙也加は照れ笑いしている。


「沙也加気をつけてよ〜。ていうかいつの間に寝てたの?」


「いつだろう? たまにお風呂で寝ちゃうみたいなんだよね」


 朋子と沙也加のやり取りにみんなで大笑いした。
 昔から朋子は沙也加の保護者みたいに世話を焼き、沙也加も朋子を頼っている。正反対の二人は気が合うのだろう。
 そういえば朋子とよく似た性格の加奈は生前、しょっちゅう朋子と喧嘩していたなぁと思い出していた。


「ねぇ、亜紀は仕事忙しいみたいだけど彼氏作らないの?」


「ん〜今はいらないなぁ。やっと大事な仕事を任される様にもなったし、しばらくは仕事が恋人かな」


 幸子の問いに笑って答える亜紀。


「恵子こそ良い人いないの?」


「私は今の仕事しながら、調理師の勉強してるんだ。優子のとこみたいに、お店持ちたいんだよね」


 今度は亜紀が恵子に話しを振ると、恵子が自分の夢を話した。


「え〜っ! 恵子仕事しながら勉強してるんだ! 偉いよぉ。私なんてただ信太にくっついてきただけで、お手伝いみたいなもんだよ」


 努力家の恵子なら、きっと実現するだろうと思う。


「ふ〜何だかのぼせてきたね。そろそろでようか?」


 幸子の一言で、湯船から上がりぞろぞろと脱衣所に入った。

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