六人に届いた手紙
「一体どうしたの?」


 優子がそう聞くと、朋子は黙ってその落ちている物を指さした。
 小さく四角い箱の上には、



 -----------------------------------------------------
 従業員の方へ
 お手数ですが、このプレゼントを、
 午後十一時に二0六号室へ届けて下さい。
 -----------------------------------------------------



 そうプリンターで印刷されてあるメモが貼られていた。
 不思議な事に二0六の文字だけは、ボールペンで手書きされている。
 優子はカードを拾い、目を通すと、



 -----------------------------------------------------
 お前が十一年前の今日、私を殺した。
                 加奈より
 -----------------------------------------------------



 とプリンターで印刷されていた。
 何これ? 殺したってどういう事? しかもまた加奈の名前……。


「誰なの? 私は加奈を殺したりなんかしてない!」


 朋子は泣きながらそう言った。


「当たり前じゃない。加奈は自殺したんだから、誰のせいでもない」


「優子の言う通りだよ。こんなの誰かのイタズラだよ朋子」


 優子と幸子がそう言うと、朋子は泣きながら優子に抱きついてきた。まるで子供をあやす様にして朋子を落ち着かせ、ようやく泣き止んだので話しを訊いた。

 朋子は、沙也加が眠ってしまった為、一人でビールを飲み、携帯でゲームをしていたらしい。そしてノックが鳴ったので出ると、女将が小さな四角い箱を持ってきたので開けると、そこには脱衣所でみた金髪のカツラとカードが入っていて、驚いて叫び声を上げたらしいのだ。そして女将が朋子に渡す時に言ったらしいのだが、いつの間にかフロントの台に、メモが貼った箱が置かれていたという事だった。







< 18 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop