六人に届いた手紙
 ドアが閉まり、優子と幸子は顔を見合わせる。
 お互い顔色は悪いが、ある確信を持った。

 加奈の幽霊などいない。
 そして犯人は私達の中に居る事を……。

 明らかに、ある人物は朋子を見る目に憎悪を宿していた。どうしてさっきまで気付かなかったんだろう。そして、皆との話しの中で、ある人物だけが狼狽する場面があった。
 何故、朋子を恨んでいるのか、朋子は加奈の事で何を隠しているのか分からないけれど。

 しばらく二人して横になり黙っていたが、どのくらい時間が経ったのか、


「優子、起きてる?」


「起きてるよ。だいぶ吐き気が収まったみたい。幸子は? 大丈夫?」


「うん。私もかなり回復したみたい。ずっと考えてたんだけどさ、加奈と朋子の間であった事。あの二人って性格が似てたせいか、よく喧嘩してたよね? でもやっぱり殺す程仲が悪かったわけじゃないよね?」


 確かにそうだ。いくら喧嘩ばかりしていたといっても友達だし、殺すわけがない。


「朋子が加奈を殺したなんて思わないよ。加奈との間で何かがあったのは、間違いないと思うんだけどなぁ」


「ねぇ優子、思い出した事があるんだけどね。あの頃、朋子の家に遊びに行った時、机の上にあった写真立てが倒れてたから直したのね。一瞬見ただけなんだけど、すごく年上らしき男の人と朋子が腕を組んでる写真だった。そしたら朋子が慌てて、写真立てを伏せて『誰にも言わないで』って言ったの。その時は余程、彼氏が不細工で見せたくないのかなって思うくらいで、特に気にもせず、すぐ忘れちゃったんだけど、丁度加奈にも年上の彼氏いたよね? もしかしてだけど、朋子が加奈の恋人とったとか? 考えすぎかな?」


「そんな事があったんだぁ。考えすぎじゃないかもよ幸子。だって朋子は彼氏が出来るとすぐ自慢して、いつもみんなに紹介してたし、その彼だけを隠すなんて変だよ」


「そうだよね。朋子は不倫してた時でさえ、みんなに彼氏会わせてたぐらいだもんね」


 加奈と朋子の恋人が同一人物というのは、案外当たっているかもしれない。

 そして私と幸子は、いつの間にか眠りについていた。

 暗い闇の中で……。


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