六人に届いた手紙
 優子はどうして皆に電話した時、犯人が島に居たって分かったの?」

 恵子の疑問はもっともだった。


「もちろん、その時は私も分からなかった。でもみんなに電話してた時、一人だけ、電話越しに音が聞こえたの。後から、波の音だって気付いた。そして、その人物は加奈が自殺ではなく殺されたんだと思い込んでいたから、私達六人の中に犯人がいると考えてたはず。その人物は、加奈を殺した犯人を探す為に、まず料理を一人前多く頼んで、私達六人の様子を見ると、明らかに朋子だけが取り乱した。そこで、朋子が加奈を殺した犯人だと思い、幽霊話しやカツラを使って、朋子を精神的に追い込んでいった。カツラはあらかじめ用意してあって、みんなで大浴場に行く時に持って行き、隙をみて朋子の脱衣カゴに入れたんだと思う。そして、怯える朋子に追い討ちをかける様な事を、毎回たった一人だけ、真っ先に言う人物がいた。混乱に乗じて、脱衣所を出る際、カツラを拾い持ち去り、次にあらかじめ用意してあった箱に、カツラとカードを入れ、フロントに置いた。箱に貼ったメモには、部屋番号だけがボールペンで手書きされていたし、カードにも誰宛てとは書いてなかった。その時は不自然だなぁと思うだけだったけど、箱やカードを用意してた時点では、加奈を殺した犯人が分からなかったんだと思う。だから当然、部屋番号は書けないし、相手の名前は書かなくても、犯人であれば、カードの文を見て、取り乱すと踏んだんだと思う。そして、朋子と沙也加の部屋に、カツラが投げ込まれた事だけど、カツラを投げ込む事が可能だったのは、沙也加と亜紀と恵子の三人だけ。私と幸子は話していて、一歩も部屋から出てないの。でも、私と幸子が犯人で、共犯だというならアリバイは成立しないけどね」


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