六人に届いた手紙
「加奈が自殺ではなく、私達六人の中の誰かが殺した、という真実を知ったのは、去年だった。加奈が亡くなって半年が経とうとする頃、偶然加奈の弟と会ったの。たった一人の家族を失い、親戚の家で暮らす加奈の弟は寂しそうで、私は彼と何度も会う様になった。そして、愛し合うのに時間はかからなかった。
 彼は、まだ当時高校生だし、私はみんなに、彼と付き合ってる事は話せなかった。恋人同士になり、私の家で半同棲を始めたの。それから幸せな時間はあっという間に過ぎた。
 そして三年前、突然彼はトラックに轢かれ死んでしまった……。私は彼の荷物もそのままで、この三年、仕事に没頭する事で寂しさを紛らわしてきたの。
 そして去年少し気持ちが落ち着いてきたから、彼の荷物を整理し始めた。彼の日記が出てきて、私はその内容に愕然とした。だって彼の日記には私の知らなかった真実が書いてあったから。そこには、

【姉が死んだ。でも自殺なんかじゃなかった。姉が死ぬ直前に届いたメールには〈お姉ちゃんね、友達に裏切られちゃった。今その子と一緒なの。信じてたのに悲しいよ。〉って書いてあった。俺は、姉が仲の良かった六人の友達の中に犯人が居ると思い、探す事にした。亜紀に近づいたのは、その為だ。でも亜紀が姉を殺した犯人かもしれないのに、疑いながらも本気で好きになってしまった。姉を殺した犯人を見つけて復讐してやりたい。それなのに俺は……。】

 彼の苦悩した内容の日記を読み、私は悲しかった。加奈を殺した犯人が私達の中にいて、尚、私も疑われていた事。そしてその為に私に近づいた事。加奈を殺した犯人が憎くて憎くてたまらなかった。そして、私は今回の計画を立てたの。
 場所を優子の住む島に決めたのは、本土と離れているし、逃げられない様にする為。優子の推理通り、集まる前に下見に来ていた私は、万が一優子に見られても加奈の幽霊話しに信憑性を持たせる為に、加奈と同じ髪型の金髪のカツラをつけていた。丁度海岸づたいに歩いていた時、優子から電話が来たのはうかつだったけど。旅館にはボイスチェンジャーを使って予約をし、お金を振り込んで、料理や部屋割りを指定した。後は全て優子の推理通り。だけど優子がこんなに名探偵だったなんて知らなかったなぁ」


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