六人に届いた手紙
 そう言って亜紀は、どこか悲しそうに笑った。

 そして話を聞いていた私達は、全員泣いている。

 すると亜紀が屋上の柵に足をかけ、振り返ると、


「皆を騙す様な事してごめんね。私は彼と加奈の所に行く」


 そう言って飛び降り様とした亜紀を、咄嗟に優子は掴んだ。


「亜紀のバカ! 加奈は殺されたんじゃないんだよ!」


 優子は朋子の遺書を亜紀に見せた。そして、


「確かに加奈を裏切って、自殺にまで追い込んだのは朋子だけど、朋子は十一年間、ずっと後悔してきた。プロポーズされても、誰とも結婚しようとしなかった朋子に、私達は理想高いねとか言って笑ってたけど、本当は罪滅ぼしだったんだよ! 誰にも言えずにたった一人で。亜紀だって、彼との事や、彼が残した日記の内容を知っても、誰にも言えず一人で辛かったでしょ? 罪は少なからず私達全員にあると思う。加奈も朋子も亜紀も、私達の誰か一人にでも相談しなかった事が罪。そうすれば、加奈は自殺しなかったかもしれないし、朋子は孤独にならなかったかもしれない。亜紀は彼との事、日記の事を誤解する事もなく、こんな計画立てなかったと思う。そして私と幸子、沙也加、恵子の四人は、加奈と朋子と亜紀の痛みに気付いてあげられなかった事が罪。私はね、七人で見た景色を忘れたくない。喧嘩しても、真っ直ぐな気持ちで居られた頃の私達。だからもう一度、あの頃の私達七人に戻ろう。加奈はもう居ないけど、姿は見えないけど、思い出は消えたりしないから」



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