幸せな結末
「バカじゃないのだし」

理彩さんも呆れたように言った。

「話をまとめると、別れた彼氏が会社までやってきて復縁を求めてきた…って訳か」

そこまで言うと、主任はビールを飲んだ。

「理彩、もう1本」

空っぽの缶ビールを理彩さんに見せながら、主任が言った。

「飲み過ぎよ、恭吾」

「家だからいいでしょ?」

「場所の問題じゃないんだけど…」

独り言みたいに理彩さんは言うと、キッチンへと向かった。

「楠田さんは元カレとの復縁は望んでないんでしょ?」

主任の問いに、美羽ちゃんは首を縦に振ってうなずいた。

「遊んでおいて一方的に別れを告げたのは、彼の方です。

彼――和志って言うんですけど」

そう言った美羽ちゃんに、
「もしかして、嶋田和志(シマダカズシ)のこと?」

誰かが言った。
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