幸せな結末
その声の主を見ると、眉間にシワを寄せた理彩さんが立っていた。

「そうだけど…?」

不思議そうに呟いた美羽ちゃんに、理彩さんは呆れたようにため息をついた。

「恭吾、ビール」

「ああ」

理彩さんは主任に缶ビールを渡すと、椅子に腰を下ろした。

「あいつ、まだ女遊びをやってたんだ」

独り言みたいに呟いた後、理彩さんはまたため息をついた。

「理彩ちゃん、もしかして知ってるの?」

堺ちゃんが理彩さんに聞いた。

「知ってるも何も、あたしもそいつの被害者だったから」

理彩さんがそう言った瞬間、この場が驚きに包まれた。

「理彩も楠田さん同様、ヤツに遊ばれてたの」

主任が言った。

「主任、知ってるんですか?」

俺の問いに、主任は首を縦に振ってうなずいた。
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