幸せな結末
「初めて会った時に、理彩から聞いたんだ。

俺も1度会ったことがあるんだけど、ヘタレのバカ男だった。

けど、理彩はすごかったよね?」

そう言った主任に対し、
「まだ覚えてたんだ…」

理彩さんは顔を真っ赤にしてうつむいた。

「俺が忘れると思った?」

んふっと、主任はやらしく笑った。

何がすごかったんだろ?

そんな疑問が出てきたけど、今は聞かないことにした。

「けど、理彩があんだけ言ったのに懲りてないとはねえ」

「だから、昔の話だって」

「そう、俺にはつい最近の出来事のように感じるけど」

…俺たち、何気に忘れられている?

主任と理彩さんのやりとりを見ながら、俺はそう思った。
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