【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
 
「チカ、チカ!」

「・・・・あー、なんだ、サヤか」

「なんだはないでしょう。てか部長さん、首をかしげて帰ってったよ? 夏休みの活動はどうするか聞きに来てたのに。チカ、放心しちゃって終始無視だった」


先生に呼び出されたか何かで少し席を外していたサヤが戻ってきたらしく、心配そうにあたしの顔を覗き込んできた。

そっか。

気が遠くなってあたし、先輩がいたのに無視していたのか。


「ごめん、サヤ。おかえり。先輩にはあとで適当に謝っとくよ」

「うん。ま、それはそれとして。夏休み、チカはどうするつもりでいるの? 部活出たい?」

「夏休みかぁ・・・・」


どうしよう。

あたしが部活に出ないとなると、先輩とは新学期まで会えない。

でも、活動するとなると、どう接したらいいか分からないし、女子の依頼主にやきもちばっかりだ。

放心しきって無視したくせに先輩に会えなくなるのは嫌だなんて。

あたし、相当“変”・・・・。

悩みまくるなんて自分らしくないのはあたしが一番よく分かっているけど、なんせ恋は初めてで。
 

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