【短編】コクレン部。-あたしの恋の練習台-
こういうのって、どうしてあとになってからじゃないと気づかないものなのかな・・・・。
嬉しいけど悔しいよ。
今さら全部を話してくれても遅いのに、もうコクレン部にはいられないのに、まだ先輩と一緒にいたいと思ってしまう。
往生際だってめちゃくちゃ悪い。
もう一緒にはいられないのに、ますます先輩を好になってしまう。
「そこでだよ、ちぃーちゃんッ!見て、あそこッ!」
「は?」
すると、先輩は急にプレハブ小屋の一点を指差し、そう言った。
こっちは部活も恋も諦めきれなくて泣きそうだっていうのに、いつものおちゃらけっぷり全開で。
「考えたんだ、ちぃーちゃんが部活を辞めなくてもいい方法を!コクレン部が廃部にならなくてもいい方法を!」
「・・・・え?」
先輩が指差した方向。
その先にあったのは───・・。
「だいぶ遅くなったけど、俺からも言わせてくれる?」
「え、うん」
「恥ずかしいから1回しか言わないよ。・・・・えーっと、好きだよ、ちぃーちゃんッ!」